いろいろなことを考察する

高橋泰教授の「7段階モデル」の ver.2 で私が指摘していた点がどうなったか

修正履歴 1

本エントリは、私が 2020-11-19 に書いた twitter 書き込み ここ 以下を、2020-12-15 にまとめたものです。

まとめに際しては、字句の修正や補足をしました。
仮に論旨を変更した場合には明記します。


高橋泰教授の「7段階モデル」の ver.2 が発表されました。

論文
高橋泰・武藤真祐・加藤雅之「新型コロナウイルスの実態を再考する―感染7段階モデルver.2の紹介」『社会保険旬報』2020.10.21号(№2799[pp.6-16]) 2020-10-27

関連記事
新型コロナ「7段階モデル」で今冬の流行を予測 高橋泰教授「98%は風邪、血管が弱いと要注意」 2020-11-12

私がこれまで指摘してきた論点が ver.2 でどうなったかを確認します。

正直に言いますと、本エントリは、以前の私の指摘に関する答え合わせですが、あまり目を引く内容ではありません。

(1)「70歳以上の暴露者死亡率の矛盾」の件

私は「夏に発表された7段階モデル」(=以下 ver.1 と書く)の誤りと思われる点を指摘していました。

ここで私の指摘した点が、ver.2 でどうなったか等について書いておきます。 (私の ver.1 に対する指摘は ここここ です。)

まず、私が ver.1 で一番問題だと思っていた、「70歳以上の暴露者死亡率の矛盾」(blog(3b))について。

これは「ver.1 の論文中の数値の一部に矛盾があるのでは」「全国で3800人以上死ぬことはなさそう、という推計にも影響があるのでは」との疑問でした。

ver.2 では、ver.1 で提示されていた数字「70歳以上の発症者死亡率」が提示されていません。(ただし明示的な撤回もありません。) もし撤回してないなら、私の指摘した矛盾はまだ残っていますが、撤回したのであればそもそも矛盾はありません。普通に考えると、撤回したのでしょう。

なお「全国で3800人以上死ぬことはなさそう」という ver.1 での論点が ver.2 で維持されているかは不明です。 重要な論点なので、維持/修正について明言がないのは不可解に感じます。 ただし7段階の図表を概ね維持していますので、「3800人」も概ね維持の可能性が高いと考えます。

(2)「提言」での記述の誤りの件

blog(3a) で指摘した記述の誤りについては、対応する記述が ver.2 では無くなっています。

(3)表での誤差(?)の件

blog(3c) で指摘した、「7段階説の説明図表において、100% となるべき所に誤差がある」については、ver.2 でもそのままです。 計算式は以下。
30-59歳: 98.0000 + 1.9994 + 0.0006 + 0.0001 = 100.0001
70歳以上: 97.9960 + 1.9940 + 0.0059 + 0.0044 = 100.0003
これは単なる誤差と思われますが、100.0 に揃えて欲しかったと思います。

(4)まとめ

私のこれまでの指摘に対する確認は以上です。

blog(3b) はたぶん解消、blog(3a) は解消、blog(3c) は残存、という事になりました。


  1. 修正履歴 2021-01-24: 冒頭に掲げた記事「新型コロナ「7段階モデル」で今冬の流行を予測」のリンク先の誤記を修正しました。