- 流行初期の「感染者数」の倍加時間と、R0、T との関係を考えます。
- 単に「倍加時間」と書いてあると、多くの場合は「感染者数」ではなく「新規感染者数」を論じています。ご注意下さい。
- ここで検討しているのは、シンプルな SIR モデルです。
(いずれ他の件とつながる予定です。)
以下は、シンプルな SIR モデル https://sarkov28.hatenablog.com/entry/2021/01/04/113012 での検討です。
の初期値を、 とします。
モデルがシンプル SIR ならば、流行初期の「指数関数的増大時」には
です。 …… (1)
ある時点 と において、感染者数が倍加しているなら、
です。…… (2)
(2)の左辺は、(1)を使うと、
です。…… (3)
(2)と(3)と を底とする を使うと
となるので、
…… (4)
となります。
この右辺の は、 を使うと、
であり、流行初期では (=全人口)なので、
であるため、…… (5)
…… (6)
となります。
(4)(6)から、感染者数が倍加する は、
…… (7)
となります。
シンプルSIR の流行初期においては、
感染者数の倍加時間 は、 と (あるいは、 と )の関数(7)です。
上記で、(7)は、流行初期でのみ成立する近似(1)(5)を使っています。
(7)は、流行初期に、近似的にのみ成立します。
更新履歴
- 2022-05-13
公開。 - 2023-09-24
少し加筆しました。主旨は変わっていません。